EAの連敗は何回までなら正常か|勝率から計算する最大連敗数の目安

投資・トレード

はじめに

自動売買プログラム(EA)を動かしていると、負けが続くことがあります。5連敗、8連敗と重なってくると、そろそろ止めるべきなのか迷います。

このとき知りたいのは「この連敗は異常なのか、正常の範囲なのか」です。

先に答えを書きます。何連敗までが正常かは、勝率で決まります。 しかも多くの場合、直感より長い連敗が普通に起きます。勝率40%のEAを200回動かせば、途中で9連敗する程度はごくありふれたことです。

以下では、勝率ごとに何連敗までが普通なのかを計算します。そのうえで、その値が取引回数とともに伸びること、そして販売資料の「最大連敗◯回」をどう読むべきかを見ていきます。

連敗は、壊れていなくても起きる

コインを200回投げれば、表が7回も8回も続く場面はごく普通に出てきます。コインが偏っているからではありません。投げる回数が多ければ、その程度の連続は自然に起こります。

EAの取引も同じです。1回ごとの勝敗が独立で、勝率が一定だと仮定すると、連敗の長さは計算できます。連敗が起きたこと自体は、ロジックが壊れた証拠にはなりません。

勝率別:200回の取引で起きる最大連敗

各勝率について、200回の取引を4万回シミュレーションし、その間に起きた最長の連敗を集計しました。

勝率 最大連敗の中央値 9割はこれ以下 99%はこれ以下 10連敗以上が起きる確率
40% 9連敗 12連敗 17連敗 37.9%
50% 7連敗 9連敗 13連敗 9.0%
60% 5連敗 7連敗 10連敗 1.2%
70% 4連敗 5連敗 7連敗 0.1%
80% 3連敗 4連敗 5連敗 0.0%

同じ「10連敗」でも、勝率40%のEAでは4割近い確率で起きる普通の出来事、勝率60%のEAでは1%程度の珍しい出来事です。

勝率が低いEAは、その代わりに1回あたりの利益を大きく取る設計になっていることが多く、勝率の低さ自体は欠点ではありません。ただ、そうしたEAを使うなら、長い連敗に耐えることが最初から運用の前提になります

実際の判断には、次の程度の目盛りがあれば足ります。

  • 中央値より短いうちは、ごく普通
  • 9割の水準を超えたら、やや珍しい
  • 99%の水準を超えて初めて、「勝率は一定」という前提そのものを疑う

取引回数が増えれば、最大連敗も必ず伸びる

もう一つ、見落とされやすい性質があります。運用を続けるほど、過去最長の連敗は更新されていきます。

勝率60%のEAで、取引回数ごとに最大連敗を計算すると次のようになります。

取引回数 最大連敗の中央値 9割はこれ以下
50回 4連敗 6連敗
100回 4連敗 6連敗
300回 6連敗 8連敗
1,000回 7連敗 9連敗
3,000回 8連敗 10連敗

同じEAでも、50回時点の最大連敗は4回、3,000回まで回せば8回です。性能は何も変わっていません。回数が増えたから、長い連敗に出会う機会が増えただけです。

販売資料の「最大連敗◯回」の読み方

この性質が分かると、販売ページの読み方も変わってきます。

「バックテストでの最大連敗は5回」と書かれていても、それはその検証回数の範囲で観測された最大値にすぎません。実運用を続ければ、その5回はほぼ確実に更新されます。

見るべきなのは最大連敗の数字そのものではなく、次の3つをそろえた形です。

  1. 最大連敗の回数検証した取引回数 — 何回のうちの最大値か
  2. 勝率 — その勝率なら何連敗が普通かを、上の表と照らす
  3. 1回あたりの損失額 — 連敗が続いたとき資金がどこまで減るか

実際に効いてくるのは3番目です。8連敗が統計的に普通の範囲だとしても、1回の損失が資金の5%なら、8連敗で資金は3分の2近くまで減ります。最大ドローダウンを確認するのは、まさにこのためです。

なお、取引回数が少ないバックテストでは、そもそも勝率の推定自体が不安定です。勝率が不確かなら、そこから導く「正常な連敗の範囲」も幅を持って読む必要があります。

この計算の前提

上の数字は、1回ごとの勝敗が独立で、勝率が一定という仮定にもとづいています。実際の取引では、この仮定が成り立たないことがあります。

同じシグナルから複数のポジションを持てば、それらはまとめて勝ち負けします。相場環境が変われば勝率そのものが変わります。ナンピンやマーチンゲールを含むロジックでは、1回の損失額も一定ではありません。

したがってこの表は「最初の目安」であり、これを超えたからといって直ちに異常と決まるわけではありません。逆に、表の範囲内なら安心というものでもありません。

まとめ

  • 何連敗までが正常かは勝率で決まる。勝率40%なら9連敗が中央値、勝率60%なら5連敗
  • 同じ10連敗でも、勝率40%なら約38%の確率で起きる普通の出来事、勝率60%なら約1%
  • 取引回数が増えれば最大連敗は必ず伸びる。過去最大は更新されるもの
  • 販売資料の「最大連敗◯回」は、検証した取引回数とセットでなければ読めない
  • 統計的に普通の連敗でも、1回の損失額が大きければ資金は持たない

連敗が起きたとき最初に見るべきは、連敗の回数ではなく、そのEAの勝率です。

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※本記事は特定のEA・商品の購入可否を示すものではありません。数値例はすべて説明のための架空の例です。最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。

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